白萩鐶 Original Novel WebSite "猫がいってしまったので 1.1"
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桜宵 

背中にあたる短い草が、ジャケットとブラウスの布地越しにもちくちくと肌を刺す。夜は未だひんやりとした春の空気がさらされた肌を撫でるようで。ホックのみ外されて浮き上がったブラに滑り込み、脇腹から乳房へと滑る掌もまたひやりと冷たい。
冷えた空気故か刺激に故か、尖った乳首を口に含まれ、ちゅぷ、ちゅぱ、と音を立てて吸い立てられる。明らかな快感に薫は息を荒げながら反応を殺した。胸元に埋められる白い頭が動くのをぼんやりと見遣り、薄く開いた視界を埋める桜の花が淡く。
(やだ、気持ちいい……)
こんな場所で、見ず知らずの男に痴漢まがいに押し倒されているのに。
スカートの裾を割って滑り込んでくる掌に肌が粟立つ。太ももを撫で上げするりと内側へと入り込む。脚の間に体を入れられていては、脚を閉じて抗う術もない。
開かされた脚の付け根をかすめるように撫でる。ショーツの布地ごと入り口を抉じるように引っ掻く。シュッと布を擦れさせて其処だけひっかかる感触のある陰核を刺激する。薫は、唇を咬み声を反応を堪えるのに必死だった。
「まぁ、そう固くならないで」
緩い口調で勝手な事を言いながら、男の指がショーツのクロッチを潜って侵入してくる。まだ濡れないまま開いた襞をなぞるように撫で,膣口あたりをつつくように触れられただけで、ぬるりとそこがぬめって来るのが解る。
「や……」
とろりとした愛液を襞の内側に塗り広げるように指がうごめいた。ぬめる指先がクリトリスに与える刺激は遥かに強く、薫は背筋を反らせるように身体を強張らせた。思わず零れそうになる快感の声を、唇を噛み締めてかみ殺す。
「………っ!」
ひく、と仰け反った喉に、唇が落とされる。そのまま強く吸われれば、ピリ、と刺激のような快感が駆ける。指先は幾度もクリトリスを撫で回し、その度に与えられる快感を耐えて、さらに愛液が溢れた。
「……ふっ……っ…!」
熱を帯びて吐いた息が、舞落ちてきた花びらをさらに踊らせ、ぺたりと頬に落ちた。
「気持ちいいですか?」
低く問いかける声に頷く訳にもいかず、薫は恨みがましく男を見上げる。
「……」
「だってこんなに濡れていますし。ねぇ?」
可笑しげに言いながら、男が指を滑らせる。膣口を一度浅くこじり、ぬる、と侵入さる指が、くちゅくちゅと音を立てながら中をかき回す。
「ぁ……! っく……!」
くぐもった悲鳴を上げる薫の閉じた瞳に、頭上から射す影は映らない。ただ耳に、軽やかな少女の声が、聞こえた。
「楽しそう……お兄いさん」
薫はぎょっと目を開けた。己にのしかかる男の真逆から、白い髪の少女が薫を覗き込んでいた。
そしてその背後には、満天の桜が。

愛らしく整った顔だちと背後の桜に溶けるような白い髪に見とれたのも一瞬。
(見られた!)
あまりの羞恥に顔に血が昇ってくらくらする。
こんな場所で、草むらの中で。見ず知らずの男に脚を開いて喘ぐ姿を、同性にに見られ、強烈な羞恥と後ろめたさを覚えて薫は悲鳴をあげる。
「嫌! た、助けて……!」
助けを求める言葉は、決して本意ではないと顕示するために。無意識に口をついた。
少女と呼んでいい年頃だ。未だ若い華奢な体系を白いワンピースにつつんで、男に組しかれた薫の頭上に立ち上体をかがめる様に覗き込んでくる。
「嫌がってるわ」
「鴇が邪魔するから…」
暴れる薫を押さえながら、男はのんびりとした口調で少女と会話を交わした。親しげに顔を寄せ、くすくすと笑い合う二人の顔はよく似ている。少女もとても綺麗な顔をしていた。
「邪魔なんて、酷い」
少女はもがく薫の頭上にぺたりと座った。抵抗する間もなく、薫の頭を膝の上に抱え上げる。
「な…」
意外にすぎるその行動に呆然とする視界に、少女の顔が迫ってきて。逆向きのまま唇があわせられる。両手で頭を押さえられているので、ろくに抵抗もできないまま、少女の舌が口腔に滑りこんで来る。
「…ん……んんっ!」
少女の唇は、舌はあまりに甘く柔らかかった。
女同士のキスなんて初めてで、それも舌を絡め唾液を貪るディープなキスで、薫の頭は混乱のままに白くなる。
わざと唾液を鳴らして繰り返される甘いキスの合間に、漏れる息と小さな喘ぎ声もまた甘い。状況も忘れて陶然となりかかった薫に、のしかかった男の愛撫が再開される。体内に滑り込んだ長い指が、膣壁をかき立て、クリトリスを弄る。
力が抜けた体に、先程までとは違う快感が駆け巡り、薫は仰け反った。
「ぁ…ぅん……んむぅ…あ…ふ……」
漏れる喘ぎが少女の唇の中に捕らわれる。
少女は唇を重ねたまま、手を伸ばして薫の乳房をなでる。細くしなやかな指が乳房の表面をなで回し、乳首をつまんでこりこりと扱く。
「あっ……」
痺れるような甘い電流が走る。体の中心は既に男の指によって熱く昂ぶり、充血した襞の間から溢れた密が男の指に絡み、淫猥な水音を立てているのが解る。
唇をはずし間近からのぞき込む少女の顔は、まるでお人形のように綺麗で。幼さを残したあどけない顔なのにどことなく妖艶な雰囲気を醸し出している。
「気持ち悦い?」
少女の軽やかな問いかけに、思わず頷いてしまう。
「素直で可愛い…」
嬉しげに笑む少女の顔の方がよほど可愛い。
少女は薫の乳房から手をはずし、脚を崩し投げ出すようにして薫の体を挟み背後から腕を回す。それに応じるように体を起こした男がゆるく笑を浮かべて薫を見下ろし、薫は脇の下から回された腕に抱かれ、少女の胸に首を預ける形になった。男は一度体を引き、ショーツを脱がせて薫の脚を大きく開かせた。そのまま股間に顔を落としていく。
「嫌っ…!」
何度目の否定だろうか、まるで聞き入れられない言葉を零しながら、薫はゆるんだ思考で、わずかな期待も抱いていた。
少女の手が滑り、スカートをまくり上げて陰部を目指す。茂みを梳くように指を這わせ、濡れた襞を両手の指で開く。
「ぁ…ふっ……」
薫の熱を持った襞がひくひくと息づいた。
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