「わかってる」
短く応え、膝下に手を入れて彼女の脚をさらに大きく開かせる。両手の指先を濡れた襞にそえて、淫部を開いた。包皮から飛び出したクリトリスを、小さな円を描くように撫でる。
「あぅっ!」
彼女の身体が腕の中で仰け反った。鋭い声をあげて、びくんと震える。構わずにくりくりと刺激を続ける。
「あぅっ…あっ…あっ…あっ…あっ!」
ピンで止められた蛙のように脚をM字に開いて、白石雪は喘ぐ。
「しー。静かに、声を抑えて? 下に聞こえたらマズイ」
指を動かしながら俺は囁く。彼女は眉をたわめ、ぴくぴくと腰を震わせながら唇を噛み締める。そしてうっすらと目を開けて俺を睨んだ。悲鳴の代わりに息を吐く唇に、振り乱した髪が貼り付いた。
「触って欲しかったんだろう?」
声がうわずっているのが自分でも解る。ナニは既に熱く立っていて、彼女の腰にぐいぐいあたっている。彼女の身体の震えが、伝わってくる。
クリストスを攻める手はそのままに、もう片方の指を二本揃え、彼女の中へ突き刺した。入口近くのつぷつぷした感触と体内のすべすべした感触をはっきりと感じながら、俺はそこをかきまわし、前後運動を開めた。膣壁を擦りあげるように抜き、強弱をつけて突き込む。
「ぁっく…ひぁっ…ひぁっ…っ…ぁっ」
くちゅくちゅじゅぶじゅぷと濡れた音が響き、押し殺した悲鳴がそれにかぶさる。明るい陽射しが、乱れる女の痴態をアンバランスにさらし出す。
「ひあっ…ダメ……イクッ…」
「もう?」
刹那、彼女の身体が硬直した。そして痙攣。がくがくと腰を揺らし、挿入された指が膣の収縮をはっきりと感じ取る。
「…………っああああっ!!」
殺せずに漏れた声が、下を通る電車の音にかき消された。
くたりと脱力した彼女を抱えるようにして、俺は立ち上がった。そのまま2歩を踏み出し、屋上に張られたフェンスに彼女の身体を挟んで押し付ける。
針金が乳房に食い込み、乳首が外へと押し出されているのが見える。彼女にフェンスを掴ませて立たせ、俺は素早くベルトを外してスラックスの前を開いた。
突き出された尻を抱え、背後から突き入れる。十分に濡れているせいか、驚く程滑らかに俺のペニスが吸い込まれる。ガシャンと金網が音を立てるのにも構わず、俺は腰を動かす。
「あっ…ああっ…っ…あっ…ぁっ…」
粘膜同士がぶつかる湿った音と彼女の押し殺した喘ぎに、フェンスの立てる金属音がガシャガシャと重なる。
彼女の中は熱かった。程よい締め付けと、太腿を伝って地にしたたる程の愛液が柔らかく絡みつく。
「もっと脚を開いて。放すよ?」
微かに頷いた彼女の腰を放し、繋がったまま姿勢を立てた。下からすくいあげるように腰を寄せ、自分も金網を掴んで背中から腰までを密着させる。
「くぁああっ」
彼女の身体を強くフェンスに挟みつける。角度が一致すれば、より深くまで挿入が可能になり、ペニスの先端が子宮口のしこった感触を捕らえる。
膝で白い脚を内側から支え、小刻みに最奥を刺激するように。
「ぅああっ!」
声の色が変わった。
頬をフェンスに押し付け、口を開けてぱくぱくと喘ぐ。俺はその唇に舌を差し入れた。覆いかぶさるようなキスに、行き場を失った喘ぎ声が「ぐぅっ…ぐぅっ…」と彼女の喉で唸る。
「さっ、榊くんっ……んぅああっ!……なに、これっ……ああっ!」
唇を放すと彼女が悲鳴混じりに言った。
「白石さんの一番奥だよ。届いてるの……わかる?」
「わ、わかるわ……くっ……すごいっ……すごいっ……ああっ、また……イっちゃう……」
「いいよ、イって」
俺は強く腰を突き上げた。彼女の踵が浮き上がる程に。体重をかけられたフェンスがギチギチと軋む。
「あぅっ!あぅっ!あんっ!あんっ!あんんっ!」
「こらこら……」
あられもない悲鳴に苦笑し、左手でその口を塞ぐ。天気がいい日には部長はよく窓を開けているのだ。声が届いたらマジ困る。
絡みつく襞の暖かさに走り出しそうになる衝動を抑え、俺は歯をきしらせた。動く度に擦れあう粘膜が快感を確実に押し上げていく。
「ふ……っ……」
耐えるために、息を吐く。刹那、彼女の中がぐっと締め付けを増した。
「くはぁっ」
思わず声が漏れる。意識してやっているのか……?
俺は軛を解いた。あとはもう、ただ本能のままに腰を突き上げるのみだ。
「うっ、んうっ、んっ、ぐうっ、んぐううううううんっ……!!」
強く押さえた掌の下から彼女の苦鳴が漏れた。押さえ付けた身体がフェンスとの間でがくがくと跳ねる。激しい動きに飛び散った愛液がコンクリートに染みを残す。
「うっ……」
リズミカルに収縮痙攣する膣壁に導かれるように、俺は精を放った。熱い感覚が放出されてくごとに、快感が背筋を駆け抜ける。
「ふぁ……ぁ……」
弛緩した彼女の身体がずるりと崩れ、コンクリートの床に膝をついた。
俺はフェンスを掴んだまま、息を吐いた。風が吹き抜けて彼女の髪をゆらした。
「禁煙、しようと思ってたのにな」
紫煙を吐きながら、彼女が呟く。
「そのほうがいいよ。やっぱり身体に悪いしね」
「冷たい事言うのね」
皺になった制服をなんとか整え、ボロと化したストッキングを脱いで、彼女はフェンスにもたれている。
「え?」
その白い脛を眺めながら俺は聞き返した。
彼女の腕がついと伸び、俺の顎に指をかける。覗き込んで来る目が、悪戯っぽく笑っていた。
「スゴかったわ、榊くん。しばらくは、煙草吸う度に濡れちゃいそ♪」
「今も?」
俺の問いに彼女は声をあげて笑った。
さて、仕事に戻らなくては。
end
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