白萩鐶 Original Novel WebSite "猫がいってしまったので 1.1"
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Smoke in Blue 

社内禁煙が実施されるまで、自社ビルの屋上にあがれる事を、俺は知らなかった。
残業で社内に人がいない時ぐらいデスクで吸ってもバレないだろうと思っていたが、あっさりバレてこってり絞られて以来、俺はエレベータホールの喫煙スペースではなく屋上で煙草を吸っている。
給水タンクの影から細く煙が立ちのぼるのを見つけ、俺はさりげなくそこを覗き込んだ。面識のある社員なら休日出勤の愚痴のひとつも零すもよし。嫌な上司だったらとっとと煙草消して退散だ。
気配を殺してそろりと足を伸ばす。身体を傾ける。そこで見た意外な人物に思わず硬直する。
フェンスと給水タンクの間に膝を抱えて座り込んでいたのは同期の、確か企画部の女子社員、白石雪だった。

晴れ渡った空を見上げ、消えていく煙をぼんやりと眺めている。うなじにかかる僅かに茶色い髪。首が長くてすらりとしている。
けっこうけたたましい声で喋る、活発な印象の女だった覚えがある。
だが、今の彼女はそんな印象を全否定するような、静かで少し寂しげな雰囲気を身にまとっていた。意外さに、どきりと心臓が跳ねた。
特に驚いた風もなく白石雪は俺の方に視線を向けた。会釈するわけでもなく、微笑むでもなく、僅かに目を細めて俺を見る。
「……ども」
俺は軽くうなづく程度の会釈をする。廊下や社外などで社員同士で交わす無意識の動作だ。
「榊くん。座る?」
さも当たり前のように自分の隣を視線で示す仕種に、俺も何故かさらりと、従ってしまう。
「私、ここでよく吸ってるの。全然気づかないんだから鈍いよね。榊くんに限った事じゃないけど」
「知らなかった」
俺の答えに彼女は空に視線を戻す。
「気づいたのは、石田部長と金森専務くらいね。やっぱ管理職はするどいのかな」
「へぇ……」
専務はともかく、いつもせかせかと動き回る石田企画部長が。意外だ。
「石田部長には説教もされたわよ。身体に悪い。妊娠前の娘は。云々」
「あはは。でもそれは確かだと思うよ、白石さんはおん……」
「うるさい」
ぴしゃり。まさにそんなタイミングで彼女は俺の言葉を遮る。
「聞き飽きたわ」
彼女の上体がふらりと揺れた。唐突に、受け止める間もなく、彼女の身体が倒れ込んで来る。けっこう重い頭に腹を直撃されて。俺はうめいた。煙草の煙がヘンなとこに入って、咳き込む。
「げふっ、ごほっ、ごほっ、けほ……白石さんっ! 何す……」
仰向けに倒れた彼女の黒瞳が、じっと見つめていた。瞼が、伏せられる。俺はまるで吸い寄せられるように、その唇にキスをした。

苦い。
タールの渋みと苦味が、舌を微かに痺れさせる。
歯を割って侵入して来る舌が、俺の舌に絡みつく。歯を裏側を探り、口腔をなめて、捻るようにうねる。差し入れた舌を吸い、下を向いているためにどうしても溢れる唾液を、喉を鳴らして嚥下する。
「……ん……ふっ」
唇が離れ、甘く鼻にかかった吐息が漏れる。潤んだ目に陶酔の余韻を残し、じっと見上げる。
彼女の左手が煙草を揉み消し、俺の首もとに伸びる。ネクタイの結び目に指を挿しいれて引く。
「ネクタイってのはね。こうやってほどかれるためにあるの」
「白石さん……?」
何がおこってるんだか、思わず惚けていたのも事実だ。ココは会社で俺はリーマン。彼女は同期で部所違いのOLで、休日出勤に屋上でSEX?
「イヤ?」
上体を起こし、再び彼女の顔が間近にせまる。シャンプーの香りが鼻腔をかすめた。

後ろから抱きすくめるように、彼女の髪に鼻を埋める。耳朶を噛み舌を這わせる。脇の下から回した両手で乳房を柔らかく包む。制服のベストの上からでもその柔らかさと重量感が伝わる。
「ん……」
彼女が微かに喘ぐ。感覚だけを追うようにその目は閉じられたままだ。ブラウスのボタンを丁寧に外し、ブラのカップをずらす。
零れ出た柔らかすぎる双丘は指をくい込ませて驚く程形が変わる。指先に挟み込むようにこねれば、先端が固く勃ちあがる。
「あ……ん……」
首筋にくちづけ、吸いながら、指先でピンク色の乳首を摘む。徐々に固さを増すそれをひねり出すようにくりくりと刺激する。
「あんっ……んっ……」
指の動きにあわせて彼女は息を吐く。鼻にかかった甘い声がそれにかぶさり、腰をもぞもぞと動かして太腿をすり合わせる。
「気持ち、よさそうだね」
俺の囁きに彼女が僅かに目を開ける。視線はすぐに伏せられた。
「じらさ、ないで」
「じらしてなんかいない。俺が、楽しんでるだけだよ」
彼女の要望に応えて、片手を太腿へと伸ばす。膝の内側から脚のつけ根まで、さわさわと移動する。ストッキングが滑らかに指をすべらせる。タイトなスカートがまくれあがり、露になったパンストとその下のショーツには、既に染みが浮いていた。
抵抗なく開かれた脚のその中心を押す。薄布とナイロン繊維の弾力越しに沈む指先に、じわりと温んだ液体が絡みつく。
「すごいね」
俺はパンストの股の部分を掴むと力を込めた。爪が食い込んだ所からバリッと音を立ててナイロン繊維が裂ける。裂け目のひとつがピピッと小さな悲鳴をあげて膝あたりまで伸びた。充分に大きく破き、下の小さな布をずらすと、紅い花が太陽の光の下にさらされる。複雑な襞から肉の芽がぽつんとのぞき、中心部分からは透明な液体が溢れて、つやつやと光っている。
襞は時折ひくひくと震え、愛液が溢れて肛門の窪みに溜まり、さらに下へと滴る。
「はぁっ……」
一際大きく、彼女が息を吐いた。
「はやく、触って……」
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